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アシックスから学ぶ事業譲渡・会社分割|司法書士試験の過去問17問で確認

公開・掲載過去問 17

この記事の内容は、対話形式の動画でも解説しています。

司法書士試験の事業譲渡や組織再編の条文は、同じ日本語なのかと思うほど複雑に感じられます。吸収分割、新設分割、簡易、略式——似た言葉が並び、どの会社の何を見ているのか分からなくなる分野です。

でも、この複雑な制度はテキストの中だけのものではありません。実際の会社が、事業を集めたり分けたりするときに現実に使っています。この記事では、日本人なら誰もが知っているアシックスの2つのニュースを題材に、事業譲渡と会社分割の論点を整理し、実際の司法書士試験の過去問17問で確認します。

この記事について

司法書士試験のイメージづくりを目的とした教材です。投資判断を勧めるものではありません。また、実際のニュースを試験の論点に結びつけるため、公表事実に試験用の仮定を重ねている部分があります(該当箇所で明示します)。

アシックスに何が起きたのか

2026年8月14日、株式会社アシックスの取締役会は、100%子会社であるアシックス商事(ウォーキングシューズ・ビジネスシューズの子会社)を解散・清算する方針を決議しました。発表によれば、アシックス商事の全事業及び業務を株式会社アシックスまたはアシックスジャパンへ移管し、その後に会社運営を終了します。

「解散」と聞くと倒産を連想しますが、今回はまったく違います。アシックスの2025年度は売上高約8,109億円・営業利益約1,425億円で、2026年度は売上高1兆500億円が見込まれる絶好調。オニツカタイガーも前年比43%増と急成長しています。つまりこれは、好調な会社が伸びるために事業の置き場所を組み替える「攻めの再編」です。事業は消えず、グループ本体へ引っ越し、空になった「会社という器」だけを閉じます。

さらにアシックスは、オニツカタイガー事業を100%子会社のOT GROUPへ吸収分割で承継させることも公表しています(効力発生日は2027年1月1日予定)。集める再編と分ける再編が、同じグループで同時に進んでいるわけです。

試験用の設定:「移管」を事業譲渡として扱う

ここで正直にお伝えします。公表資料にあるのは「移管」という言葉だけで、法律上どの方法を使うのかまでは書かれていません。ただ、「全事業及び業務を移す」という枠組みは、事業譲渡の論点をイメージするのにこれ以上ない教材です。そこでこの記事では、教材上の仮定として「アシックス商事が事業の全部を譲渡し、その後解散・清算する」場面として扱います。オニツカタイガー側は「吸収分割」と明記されているので、仮定は不要です。

この設定を頭に置いて、論点ごとに過去問を解いていきましょう。

論点1:どこからが株主総会の話なのか

事業譲渡で最初に整理すべきは、そもそもどの行為に株主総会の承認が必要かという入口です。譲り受ける側は「全部かどうか」で見ます。事業の一部の譲受けは、最初から承認の対象外です。

司法書士試験会社法組織再編等

令和4年度 午前の部 第34問 肢1

株式会社の組織再編等に関する次の1から5までの記述のうち正しいものはどれか。 なお、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとする。

株式会社は、株主総会の決議によって承認を受けなくても、他の会社の事業の一部を譲り受けることができる。

解答と解説を見る(令和4年度 午前の部 第34問 肢1

解答:この記述は正しい

正しいです。株主総会の特別決議による承認が必要な事業の譲受けは、他の会社の事業の全部の譲受けに限られます(会社法467条1項3号)。事業の一部の譲受けは同条の対象に含まれないため、株主総会の決議による承認を受けることなく行うことができます。

タグ:#株主総会#株式#株式会社の組織再編等#特別決議

この問題の詳細ページへ(問題ID: R04-AM34-1

また、「譲渡」という名前でなくても、株主にとっての意味が同じなら同じ扱いになります。事業の全部の賃貸は、会社が自分で事業をできなくなる点で全部譲渡と変わらないため、株主総会の特別決議が必要です(会社法467条1項3号は経営の委任なども並べています)。

司法書士試験会社法組織再編等

令和3年度 午前の部 第32問 肢3

株式会社の事業譲渡等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

株式会社がその事業の全部を賃貸するとの契約を締結するときは、株主総会の決議によって、その承認を受けなければならない。

解答と解説を見る(令和3年度 午前の部 第32問 肢3

解答:この記述は正しい

正しいです。会社の事業の全部を賃貸することは、事業の全部を譲渡することと同様に、会社の経営に極めて重大な影響を与えます。そのため、株主総会の特別決議による承認が必要とされています(会社法467条1項3号)。

タグ:#株主総会#株式#株式会社の事業譲渡等#特別決議

この問題の詳細ページへ(問題ID: R03-AM32-3

事業譲渡は、会社法が形を細かく決めた組織再編ではなく、あくまで取引(契約)です。だから対価を金銭に限る規定はなく、相手方が会社である必要もありません。制度の性格から逆算すると迷いません。

司法書士試験会社法組織再編等

平成26年度 午前の部 第34問 肢1

なお、譲渡会社及び吸収分割会社は、いずれも株式会社であるものとする。

事業譲渡については、その対価は金銭に限定されるが、吸収分割については、株式その他の財産をその対価とすることができる。

解答と解説を見る(平成26年度 午前の部 第34問 肢1

解答:この記述は誤り

事業譲渡の対価を金銭に限定する旨の規定はないので、本選択肢は誤りです。

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論点2:誰が決めるのか——五分の一と九割は「どの会社の目線か」

ニュースには「取締役会で方針を決議した」とあります。しかし試験知識と突き合わせると、事業の全部の譲渡も解散も、原則は株主総会の特別決議です。矛盾はしません。発表の取締役会は親会社アシックスのもの(グループ方針の決定)で、実際に譲渡・解散するアシックス商事自身の法定決議は別の段にあるからです。親会社と子会社を、別々の会社として読む——これが第一歩です。

そのうえで、承認を省略できる場合があります。キーワードは五分の一(簡易)九割(略式)。数字の前に必ず「矢印のどちら側の会社の話か」を決めてください。

譲渡会社側の五分の一は、「事業の重要な一部の譲渡」の場面だけに登場します。譲り渡す資産が総資産の五分の一以下なら、承認の対象から外れます。全部譲渡に五分の一の簡易はありません——ここが最も多い事故ポイントです。

司法書士試験会社法組織再編等

令和3年度 午前の部 第32問 肢2

株式会社の事業譲渡等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

株式会社が事業の重要な一部の譲渡をする場合であっても、いわゆる簡易事業譲渡の要件を満たすときは、株主総会の決議による承認を受ける必要がない。

解答と解説を見る(令和3年度 午前の部 第32問 肢2

解答:この記述は正しい

正しいです。事業の重要な一部の譲渡は、原則として株主総会の特別決議が必要ですが、例外があります。譲り渡す資産の価額が会社の総資産額の5分の1を超えないような比較的小規模な事業譲渡(簡易事業譲渡)の場合、手続きを簡略化するため、株主総会の決議は不要となります(会社法467条2項)。

タグ:#事業譲渡#株主総会#株式#株式会社の事業譲渡等#特別決議

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子会社の株式の譲渡でも、帳簿価額が総資産の五分の一を超え、かつ譲渡後に議決権の過半数を失うときは、事業の重要な一部の譲渡と同じ扱いになります。形は株の売買でも、グループから見れば事業を手放すのと同じだからです。

司法書士試験会社法組織再編等

令和3年度 午前の部 第32問 肢4

株式会社の事業譲渡等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

株式会社が子会社Aに対して子会社Bの株式の一部を譲渡する場合には、当該譲渡により譲り渡す株式の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1を超え、当該譲渡の効力発生日において子会社Bの議決権の総数の過半数の議決権を有しないときであっても、株主総会の決議による承認を受ける必要はない。

解答と解説を見る(令和3年度 午前の部 第32問 肢4

解答:この記述は誤り

誤りです。株式会社が子会社の株式を譲渡した結果、その子会社の議決権の過半数を有しなくなる場合で、かつ譲渡する株式の帳簿価額が会社の総資産額の5分の1を超える場合は、「事業の重要な一部の譲渡」に該当します(会社法467条1項2号の2)。この場合、原則として株主総会の特別決議による承認が必要となります。

タグ:#子会社#株主総会#株式#株式会社の事業譲渡等#特別決議#議決権

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九割(略式)は、契約の相手方が自社の議決権を九割以上持つ特別支配会社である場合。教材上のアシックス商事から見ると、相手は100%親会社のアシックスなので、まさにこの場面です。事業譲渡でも吸収分割でも、同じ仕組みがあります。

司法書士試験会社法組織再編等

平成26年度 午前の部 第34問 肢3

なお、譲渡会社及び吸収分割会社は、いずれも株式会社であるものとする。

譲渡会社は、事業譲渡契約の相手方が譲渡会社の特別支配会社である場合には、株主総会の決議によって当該事業譲渡契約の承認を受ける必要はなく、吸収分割会社も、吸収分割契約の相手方が吸収分割会社の特別支配会社である場合には、株主総会の決議によって当該吸収分割契約の承認を受ける必要はない。

解答と解説を見る(平成26年度 午前の部 第34問 肢3

解答:この記述は正しい

事業譲渡契約の相手方が譲渡会社の特別支配会社であるときは、事業譲渡及び事業の重要な一部の譲渡の際に、株主総会の決議は不要です(会社法467条1項1号、2号、309条2項11号参照)。他方、吸収分割の場合にも、吸収分割契約の相手方が吸収分割会社の特別支配会社である場合には、株主総会の決議は不要です(会社法784条1項参照)。従って、本選択肢は正しいです。

この問題の詳細ページへ(問題ID: H26-AM34-3

ただし向きに注意。移管先がアシックスジャパン(兄弟会社)なら、アシックス商事を九割支配しているわけではないので略式は使えません。「グループ内だから略式」ではなく、その二社の間の支配の向きを見ます。

そして、アシックス商事の設定は過去問の景色そのものです。事業の全部の譲渡と同時に解散を決議した場合、反対株主の株式買取請求は認められません。会社は清算へ進み、株主は残余財産の分配という出口が用意されているからです。

司法書士試験会社法組織再編等

令和3年度 午前の部 第32問 肢1

株式会社の事業譲渡等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

株式会社が事業の全部の譲渡をする場合において、株主総会において当該事業譲渡の承認と同時に会社の解散が決議されたときは、当該事業譲渡に反対した株主は、当該株式会社に対し、自己の有する株式を買い取ることを請求することができる。

解答と解説を見る(令和3年度 午前の部 第32問 肢1

解答:この記述は誤り

誤りです。事業譲渡に反対する株主には、原則として株式買取請求権が認められています。しかし、事業の全部を譲渡し、それと同時に会社が解散する決議がされた場合は例外です。この場合、株主は残余財産の分配を受けることになるため、別途株式を買い取ってもらう必要はないと考えられており、株式買取請求権は認められていません(会社法469条1項1号)。したがって、「請求することができる」とするこの記述は誤りとなります。

タグ:#事業譲渡#株主総会#株式#株式会社の事業譲渡等#株式買取請求権#解散

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論点3:債権者は異議を述べられるのか——銀行の席から考える

アシックス商事にお金を貸している銀行を想像してください。「絶好調のアシックス本体が事業を引き継ぐなら安泰」と感じるかもしれません。しかし法律上大事なのは、自分の貸金の借り手が誰のままかです。

事業譲渡は特定承継。資産や契約を一件ずつ移すため、債務を移して借り手を入れ替えるには債権者の承諾が必要です。一人ひとりが自分で守れる仕組みだから、全員へ一斉に異議を聞く「債権者異議手続」は用意されていません。守られていないのではなく、守り方が個別方式なのです。

司法書士試験会社法組織再編等

平成25年度 午前の部 第33問 肢1

債権者の異議手続に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

他の会社の事業の全部の譲受けをする株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、当該譲受けについて異議を述べることができる。

解答と解説を見る(平成25年度 午前の部 第33問 肢1

解答:この記述は誤り

会社法上、事業譲渡の当時会社において債権者異議手続きは要求されていません。従って、本選択肢は誤りです。

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一方、会社分割は包括承継。分割契約で定めた範囲が効力発生日にまとめて移り、個別の承諾は原則不要です。その代わり、会社法は一斉方式の債権者異議手続を用意します。分かれ目は「分割後も分割会社に請求できるか」。請求先が残る債権者は立場が変わらないので異議を述べられず、請求できなくなる債権者は異議を述べられます。

司法書士試験会社法組織再編等

令和4年度 午前の部 第34問 肢3

株式会社の組織再編等に関する次の1から5までの記述のうち正しいものはどれか。 なお、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとする。

吸収分割をする場合において、吸収分割後吸収分割会社に対して債務の履行を請求することができる吸収分割会社の債権者は、吸収分割会社に対し、吸収分割について異議を述べることができる。

解答と解説を見る(令和4年度 午前の部 第34問 肢3

解答:この記述は誤り

誤りです。吸収分割において、分割会社に対して異議を述べることができる債権者は、原則として、吸収分割によって不利益を受けるおそれのある債権者に限られます(会社法789条1項2号)。問題文のように、吸収分割後も引き続き分割会社に債務の履行を請求できる債権者は、不利益を受けないため、異議を述べることはできません。

タグ:#吸収分割#株式会社の組織再編等

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受け取る側(承継会社)の債権者は、債務者の財産の中身が大きく変わりうるため、原則として異議を述べられます。令和7年度にも出題された、意外と新しい頻出ポイントです。

司法書士試験会社法株式

令和7年度 午前の部 第34問 肢3

以下の試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。 吸収分割に関する

吸収分割承継株式会社の債権者は、当該吸収分割承継株式会社に対し、吸収分割について異議を述べることができない。

解答と解説を見る(令和7年度 午前の部 第34問 肢3

解答:この記述は誤り

吸収分割承継株式会社の債権者は、当該吸収分割承継株式会社に対し、吸収分割について異議を述べることができることから、誤りとなります

この問題の詳細ページへ(問題ID: R07-AM34-3

そして最重要のひっかけ。簡易分割(五分の一以下)でも、債権者異議手続は別に必要です。簡易・略式は「株主総会の承認」を省略する制度であって、債権者保護の要否はまったく別の条文で判断します。分割会社の総資産が大きくても、請求先を失う債権者の失うものは変わりません。

司法書士試験会社法組織再編等

平成25年度 午前の部 第33問 肢5

債権者の異議手続に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

C株式会社が新設分割をしてD株式会社を設立する場合において、新設分割によりD株式会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額がC株式会社の総資産額の5分の1を超えないときは、当該新設分割後にC株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人としてD株式会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができないC株式会社の債権者は、C株式会社に対し、当該新設分割について異議を述べることができない。

解答と解説を見る(平成25年度 午前の部 第33問 肢5

解答:この記述は誤り

新設分割後に新設分割会社に対して債務の履行を請求することができない新設分割会社の債権者は、当該新設分割株式会社に対して、当該新設分割に異議を述べることができます。(会社法810条1項2号参照)。これは、新設分割により、承継させる資産の帳簿価額の合計額が、新設分割株式会社の5分の1を超えない時であっても変わりありません。従って、本選択肢は誤りです。

この問題の詳細ページへ(問題ID: H25-AM33-5

論点4:効力発生日と登記

吸収分割の効力は、分割契約で定めた効力発生日に生じます。登記をした日ではありません。オニツカタイガーの分割なら2027年1月1日です。登記は効力の条件ではなく、効力発生日から2週間以内に申請する報告です。

司法書士試験会社法株式

令和7年度 午前の部 第34問 肢1

以下の試験問題については、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。 吸収分割に関する

吸収分割承継株式会社は、吸収分割の登記をした日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割株式会社の権利義務を承継する。

解答と解説を見る(令和7年度 午前の部 第34問 肢1

解答:この記述は誤り

吸収分割契約に定めた効力発生日に効力が生じることから、誤りとなります

この問題の詳細ページへ(問題ID: R07-AM34-1

登記の面でも、事業譲渡と会社分割は対照的です。事業譲渡それ自体では登記事項が動かないため変更登記はなく、吸収分割では分割会社・承継会社の双方で変更登記が必要です。

司法書士試験会社法組織再編等

平成26年度 午前の部 第34問 肢5

なお、譲渡会社及び吸収分割会社は、いずれも株式会社であるものとする。

譲渡会社は、その本店の所在地において事業譲渡による変更の登記をする必要はないが、吸収分割会社は、その本店の所在地において吸収分割による変更の登記をしなければならない。

解答と解説を見る(平成26年度 午前の部 第34問 肢5

解答:この記述は正しい

事業譲渡によっては、登記事項に変更はないため、その本店の所在地において変更の登記をする必要はありません。一方、会社法923条では、会社が吸収分割をした場合には、その効力が生じた日から2週間以内に、その本店の所在地において、吸収分割をする会社及び当該会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継する会社についての変更登記をしなければならない、と規定しています。 従って、本選択肢は正しいです。

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承継会社OT GROUP側には重要な例外があります。相手のアシックスはOT GROUPの100%親会社なので略式の向きは合いますが、承継会社が非公開会社で、対価として自社の譲渡制限株式を交付する場合には、簡易でも略式でも株主総会を省略できません。非公開会社が新株を出すときは必ず株主のチェックを通す、という大原則が組織再編でも生きているからです。実際、OT GROUPは普通株式400株を交付予定で、公表日程には株主総会が入っています。この例外はそのまま登記の添付書面(株主総会議事録)の問題として出題されています。

司法書士試験商業登記法組織再編

平成26年度 午後の部 第35問 肢2

A社を吸収分割承継会社としB社を吸収分割会社とする株式会社の吸収分割による変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

A社が会社法上の公開会社でなく、かつ、吸収分割の対価としてA社の譲渡制限株式のみを交付する場合において、交付するA社の株式の価額の合計額がA社の純資産額として法務省令により定まる額の5分の1を超えないときは、A社の吸収分割による変更の登記の申請書に、吸収分割契約を承認したA社の株主総会議事録を添付しなければならない。

解答と解説を見る(平成26年度 午後の部 第35問 肢2

解答:この記述は正しい

吸収分割承継会社が吸収分割会社に交付する株式等の価額の合計額が吸収分割承継会社の純資産額として会社法施行令196条の規定により定まる額の5分の1を超えない場合には、吸収分割承継会社における株主総会の決議は不要です。しかし、吸収分割承継会社が交付するものが当該会社の譲渡制限株式であり、当該会社が公開会社でない場合には、株主総会の決議は省略できません(会社法796条3項参照)。従って、本選択肢は正しいです。

この問題の詳細ページへ(問題ID: H26-PM35-2

論点5:解散のその後——清算の手続

事業を全部送り出したアシックス商事は解散します。ただし解散した瞬間に会社が消えるわけではなく、清算の目的の範囲で存続します。だから、清算中の会社が他社を吸収合併して自分が生き残る側になることはできません(財産を換価するための事業譲渡=渡す側は可能です)。

司法書士試験会社法組織再編等

令和6年度 午前の部 第34問 肢1

株式会社の組織再編行為に関する次のアからオまでの記述のうち正しいものの組合せは後記1から5までのうちどれか。 ※問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとして、解答してください。

解散したことにより清算をする株式会社は、当該株式会社を吸収合併存続株式会社とする吸収合併をすることができない。

解答と解説を見る(令和6年度 午前の部 第34問 肢1

解答:この記述は正しい

正しいです。解散した会社は、清算(会社をたたむ手続き)を目的とする範囲でのみ存続します。そのため、会社法474条1項により、自らが存続会社となる合併(吸収合併)や、他の会社の事業を承継する吸収分割など、事業を拡大・継続するような組織再編行為は行うことができません。

タグ:#合併#吸収分割#吸収合併#株式#株式会社の組織再編行為#清算#組織再編#解散

この問題の詳細ページへ(問題ID: R06-AM34-1

清算では、債権を申し出るよう官報に公告し、知れている債権者には各別に催告します。申出期間は2か月以上。会社分割の「1か月以上・二重公告で各別催告省略あり」と対比して、清算は省略なし・必ず両方です。会社が消えれば債権者は請求先を永久に失うため、最後の砦として厳重なのです。この2か月は登記にも効き、最初の清算人の就任から2か月を経過する前に清算結了の登記はできません。株式会社でも合同会社でも同じです。

司法書士試験商業登記法解散および清算

平成25年度 午後の部 第34問 肢4

会社が解散したときにする最初の清算人の登記又は清算結了の登記の申請に関する

定款で定めた解散の事由の発生により会社が解散した場合に、最初の清算人が就任した日から2か月を経過する日より後でなければ清算結了の登記を申請できないのは、①株式会社の場合には当てはまるが、②合同会社の場合には当てはまらない。

解答と解説を見る(平成25年度 午後の部 第34問 肢4

解答:この記述は誤り

誤りです。清算手続では、債権者に対し2か月を下らない期間内に債権を申し出るべき旨を公告する必要があるため、最初の清算人の就任日から2か月以内に清算結了の登記を申請しても受理されません。これは①株式会社の場合(会社法499条1項)も②合同会社の場合(会社法660条1項)も同様です(昭和33年3月18日民事甲第572号通達)。①②いずれの場合も2か月の経過が必要であり、株式会社には当てはまるが合同会社には当てはまらないとする本記述は誤りです。

この問題の詳細ページへ(問題ID: H25-PM34-4

最後に、記述式に直結する感覚を一つ。あれほど大事な債権者保護手続なのに、清算結了の登記に「債権者保護手続をしたことを証する書面」は添付しません(添付するのは決算報告を承認した株主総会議事録など)。会社法が要求する行為と、商業登記法が要求する添付書面は、別々に決まっています。

司法書士試験商業登記法解散および清算

令和4年度 午後の部 第33問 肢5

解散した株式会社(特例有限会社を除く。)に係る登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

清算会社が清算結了の登記の申請をする場合は、当該清算結了の登記の申請書には、債権者保護手続を行ったことを証する書面を添付しなければならない。

解答と解説を見る(令和4年度 午後の部 第33問 肢5

解答:この記述は誤り

誤りです。清算結了の登記の申請書には、清算事務報告と、株主総会の承認を証する書面を添付します(商業登記法75条)。債権者保護手続を行ったことを証する書面は、清算結了の登記の添付書類ではありません。

タグ:#解散した株式会社に係る登記#株式#解散#債権者保護手続#清算#登記#特例有限会社#解散および清算

この問題の詳細ページへ(問題ID: R04-PM33-5

まとめ:三つの言葉に畳む

17問を三つに畳みます。

  1. どの会社の目線か — 五分の一は規模(分子・分母は左右で違う)、九割は相手が自分の特別支配会社かどうか。数字の前に矢印の左右へ会社名を書く。
  2. 株主総会の省略と債権者保護は別 — 簡易だから異議もなし、とはならない。
  3. 会社法で必要な行為と、登記の添付書面は別 — 必要だから証明書を添付する、とは限らない。

次に本試験の肢を読むときは、アシックス商事とアシックス、アシックスとOT GROUPの矢印を思い出してください。それだけで、五分の一と九割の景色がかなり見やすくなります。

参照した資料

  • アシックス「連結子会社の解散及び清算(方針)に関するお知らせ」2026年8月14日
  • オニツカタイガー事業のOT GROUPへの吸収分割に関する開示
  • 会社法・商業登記法の現行条文
  • 司法書士試験 過去問(平成25年度〜令和7年度)

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