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WAGYUMAFIAの吸収合併を登記簿で読む|司法書士試験の過去問15問で確認

公開・掲載過去問 15

この記事の内容は、対話形式の動画でも解説しています。

2026年8月26日の官報に、WAGYUMAFIAの合併公告が載りました。WAGYUMAFIA INTERNATIONAL株式会社が存続し、WAGYUMAFIA JAPAN株式会社が解散する、吸収合併です。

組織再編は、司法書士試験の中でも迷子になりやすい分野です。簡易だ、略式だ、種類株主総会だ、債権者保護だと条件分岐が続いて、途中で自分がどこを歩いているのか分からなくなる。

この記事では、その分岐を、実在する2社の登記簿の上で一本だけたどってみます。問題文で「甲株式会社は取締役会設置会社であり」と一行で与えられる前提は、実物ではどの欄に、どんな言葉で書かれているのか。そして、どこまでは書かれていないのか。

司法書士試験のイメージづくりを目的とした教材です。投資判断を勧めるものではありません。登記簿は2026年8月26日に取得したもので、個人の住所は伏せ、氏名は代表取締役の濵田寿人氏と取締役の堀江貴文氏を除いて記号に置き換えています。

合併する2社を、登記簿で見る

まず存続会社から。

登記簿WAGYUMAFIA INTERNATIONAL株式会社(存続会社)
会社法人等番号0110-01-067115 
商号株式会社VIVA JAPANWAGYUMAFIA INTERNATIONAL株式会社  平成30年10月 1日変更平成30年10月31日登記
本店東京都港区南青山四丁目18番21-508号東京都港区赤坂二丁目13番1号ルーセント赤坂5階 令和 1年10月 1日移転 令和 2年 4月16日登記令和 6年 1月 1日移転令和 6年 2月 5日登記
公告をする方法官報に掲載してする。 
会社成立の年月日平成22年10月22日 
目的1.食料品、飲料水、菓子、日用雑貨及びレストラン用品等の企画、製造、売買及び輸出入2.飲食店の経営、企画及び経営のコンサルティング3.インターネットを利用した通信販売業4.インターネットによる情報サービス業並びに各種マーケティング業5.コンピューターソフトウェアの企画、制作、販売6.イベント・展示会の企画運営7.販売促進に関する企画制作8.各種出版物の企画、制作、販売9.広告代理業10.酒類の販売11.古物の売買12.前各号に付帯又は関連する一切の業務            
発行可能株式総数3万株 
発行済株式の総数並びに種類及び数発行済株式の総数4015株各種の株式の数普通株式 3792株A種優先株式 223株令和 2年10月 2日変更   令和 3年 2月16日登記
資本金の額金1億円 令和 3年 1月23日変更令和 3年 2月16日登記
発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容①普通株式 2万株②A種優先株式 1万株当会社の発行するA種優先株式の内容については、次のとおりとする。①残余財産分配(1)当会社は、残余財産の分配を行うときは、A種優先株式を有する株主(以下、「A種優先株主」という)又はA種優先株式の登録株式質権者(以下、「A種優先登録株式質権者」という)に対し、普通株式を有する株主(以下「普通株主」という)又は普通株式の登録株式質権者(以下、「普通登録株式質権者」という)に先立ち、A種優先株式1株につき金1,000円(以下、「A種優先残余財産分配額」という)を支払う。(2)A種優先株主又はA種優先登録株式質権者に対してA種優先残余財産分配額の全額が分配された後、普通株主又は普通登録株式質権者に対して残余財産の分配をするときは、A種優先株主又はA種優先登録株式質権者は、A種優先株式1株あたり、普通株式1株あたりの残余財産分配額と同額の残余財産の分配を受ける。②取得請求権A種優先株主は、当会社に対して、A種優先株式を取得することを請求することができる。(1)取得と引換えにA種優先株主に交付する財産の内容当会社は、A種優先株式の取得と引換えに、次の算定方法により算出される数の普通株式を交付する。A 引換えに交付すべき普通株式の数引換えにより A種優先株主が取得交付すべき普=を請求したA種優先×転換比率通株式の数 株式の数B 転換比率転換比率は、1.000とする。C 転換比率の調整(ア)普通株式につき株式の分割又は株式無償割当てをする場合、以下の算式により転換比率を調整する。なお、株式無償割当ての場合には、下記の算式における「分割前既発行普通株式数」は「無償割当て前既発行普通株式数(但し、その時点で当会社が保有する普通株式を除く)」、「分割後既発行普通株式数」は「無償割当て後既発行普通株式数(但し、その時点で当会社が保有する普通株式を除く)」とそれぞれ読み替える。調整後 調整前 分割前既発行普通株式数転換比率=転換比率×分割後既発行普通株式数調整後の転換比率は、株式の分割の場合には株式の分割にかかる基準日の翌日以降、また株式無償割当ての場合は株式無償割当ての効力が生ずる日をもって(株式無償割当てにかかる基準日を定めた場合は当該基準日以降)、これを適用する。(イ)普通株式につき株式の併合をする場合、株式の併合の効力が生ずる日をもって(株式の併合にかかる基準日を定めた場合は当該基準日の翌日以降)、次の算式により転換比率を調整する。調整後 調整前 併合前既発行普通株式数転換比率=転換比率×併合後既発行普通株式数(ウ)A種優先株式の発行後、時価を下回る払込金額をもって普通株式を発行する場合には、転換比率は、その払込期日(払込期間を定めた場合には当該払込期間の最終日)の翌日以降、また、株主への割当てにかかる基準日を定めた場合は当該基準日の翌日以降、下記算式により計算される転換比率に調整する。調整後転換比率は、小数第4位まで算出し、その小数第4位を四捨五入する。なお、当会社が保有する普通株式を処分する場合には、次の算式における「新規発行普通株式数」は「処分する当会社が保有する普通株式数」と読み替える。既発行普 新規発行調整後 調整前 通株式数+普通株式数転換比率=転換比率×新規発行 1株当たり既発行普 普通株式数×払込金額通株式数+1株あたり時価(2)取得請求期間平成24年9月28日から平成31年9月28日までとする。③ 取得条項当会社は、株式上場申請を行うことが取締役会により可決された場合において、主幹事証券会社から要請があった場合は、A種優先株式の全部につき、次の算定方法により算出される数の普通株式と引換えに取得する。A 引換えに交付すべき普通株式の数引換えにより A種優先株主交付すべき普=が有するA種優×転換比率通株式の数 先株式の数B 転換比率転換比率は、1.000とする。C 転換比率の調整(ア)普通株式につき株式の分割又は株式無償割当てをする場合、以下の算式により転換比率を調整する。なお、株式無償割当ての場合には、下記の算式における「分割前既発行普通株式数」は「無償割当て前既発行普通株式数(但し、その時点で当会社が保有する普通株式を除く)」、「分割後既発行普通株式数」は「無償割当て後既発行普通株式数(但し、その時点で当会社が保有する普通株式を除く)」とそれぞれ読み替える。調整後 調整前 分割前既発行普通株式数転換比率=転換比率×分割後既発行普通株式数調整後の転換比率は、株式の分割の場合には株式の分割にかかる基準日の翌日以降、また株式無償割当ての場合は株式無償割当ての効力が生ずる日をもって(株式無償割当てにかかる基準日を定めた場合は当該基準日以降)、これを適用する。(イ)普通株式につき株式の併合をする場合、株式の併合の効力が生ずる日をもって(株式の併合にかかる基準日を定めた場合は当該基準日の翌日以降)、次の算式により転換比率を調整する。調整後 調整前 併合前既発行普通株式数転換比率=転換比率×併合後既発行普通株式数(ウ)A種優先株式の発行後、時価を下回る払込金額をもって普通株式を発行する場合には、転換比率は、その払込期日(払込期間を定めた場合には当該払込期間の最終日)の翌日以降、また、株主への割当てにかかる基準日を定めた場合は当該基準日の翌日以降、下記算式により計算される転換比率に調整する。調整後転換比率は、小数第4位まで算出し、その小数第4位を四捨五入する。なお、当会社が保有する普通株式を処分する場合には、次の算式における「新規発行普通株式数」は「処分する当会社が保有する普通株式数」と読み替える。既発行普 新規発行調整後 調整前 通株式数+普通株式数転換比率=転換比率×新規発行 1株当たり既発行普 普通株式数×払込金額通株式数+1株あたり時価                                                              
株式の譲渡制限に関する規定当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を受けなければならない。 
役員に関する事項取締役 濵田寿人 取締役 濵田寿人 取締役 濵田寿人 取締役 A氏 取締役 A氏 取締役 A氏 取締役 B氏 取締役 B氏 取締役 B氏 取締役 堀江貴文 取締役 堀江貴文 取締役 堀江貴文 《住所は伏せています》代表取締役 濵田寿人 《住所は伏せています》代表取締役 濵田寿人 《住所は伏せています》代表取締役 濵田寿人 監査役 C氏 監査役 C氏 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある 伏せ字平成30年12月27日重任令和 2年 4月16日登記令和 2年12月29日重任令和 6年 2月 5日登記令和 4年12月30日重任令和 6年 2月 5日登記平成30年12月27日重任令和 2年 4月16日登記令和 2年12月29日重任令和 6年 2月 5日登記令和 4年12月30日重任令和 6年 2月 5日登記平成30年12月27日重任令和 2年 4月16日登記令和 2年12月29日重任令和 6年 2月 5日登記令和 4年12月30日重任令和 6年 2月 5日登記令和 2年 9月11日就任令和 2年 9月28日登記令和 2年12月29日重任令和 6年 2月 5日登記令和 4年12月30日重任令和 6年 2月 5日登記平成30年12月27日重任 令和 2年 4月16日登記令和 2年12月29日重任 令和 6年 2月 5日登記令和 4年12月30日重任 令和 6年 2月 5日登記平成30年12月27日重任令和 2年 4月16日登記令和 4年12月30日重任令和 6年 2月 5日登記 令和 2年 4月16日登記
新株予約権第1回新株予約権新株予約権の数227個新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法新株予約権1個につき普通株式1株なお、当社が株式分割(株式の無償割当てを含む。以下同様とする。)または株式併合を行う場合は、次の算式により新株予約権の目的となる株式数を調整するものとし、1株未満の端数は切り捨てる。ただし、かかる調整は本件新株予約権のうち、当該時点で権利行使されていない新株予約権の目的となる株式数についてのみ行われる。調整後付与株式数=調整前付与株式数×分割・併合の比率また上記のほか、当社が吸収合併存続会社となる吸収合併を行う場合等、新株予約権の目的たる株式の数の調整を必要とするやむを得ない事由が生じたときは、合理的な範囲で新株予約権の目的たる株式の数の調整を行う。募集新株予約権の払込金額若しくはその算定方法又は払込を要しないとする旨払込を要しない。新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法新株予約権1個につき金125,000円なお、当社が株式分割または株式併合を行う場合、次の算式により行使価額を調整し、これにより生ずる1円未満の端数は切り上げる。調整後行使価額=調整前行使価額×分割・併合の比率また、時価を下回る価額で募集株式(新株予約権の行使により新株を発行する場合を除く)を発行するときは、次の算式により行使価額を調整し、これにより生ずる1円未満の端数は切り上げる。新規発行株式数×1株あたり払込金額既発行株式数+調整後 調整前 新規発行前の株価行使価額=行使価額×既発行株式数+新規発行株式数なお、上記算定において、「既発行株式数」とは当社の発行済株式総数から当社の保有する自己株式数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合には、「新規発行株式数」を「処分する自己株式数」に読み替えるものとする。また、算式中の「新規発行前の株価」は、当社株式に市場価格がない場合は調整前行使価額とし、当社株式に市場価格がある場合には直前の当社優先市場における最終取引価格とする。さらに、当社が吸収合併存続会社となる吸収合併を行う場合等、行使価額の調整を必要とする事由が生じたときは、合理的な範囲で行使価額の調整を行う。新株予約権を行使することができる期間平成27年8月1日から平成37年7月31日まで新株予約権の行使の条件なし会社が新株予約権を取得することができる事由及び取得の条件当社は、当社が消滅会社となる合併契約書が当社株主総会で承認された場合又は当社が完全子会社となる株式交換契約書承認の議案若しくは株式移転の議案が当社の株主総会で承認された場合は、新株予約権を無償で取得することができる。第2回新株予約権新株予約権の数3,682個新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法普通株式 3,682株新株予約権1個あたりの目的である株式の数(以下、「付与株式数」という。)は、当社普通株式1株とする。なお、付与株式数は、新株予約権の割当日後、当社が株式分割(当社普通株式の無償割当てを含む。以下同じ。)または株式併合を行う場合、次の算式により調整されるものとする。ただし、かかる調整は、新株予約権のうち、当該時点で行使されていない新株予約権の目的である株式の数についてのみ行われ、調整の結果生じる1株未満の端数については、これを切り捨てるものとする。調整後付与株式数=調整前付与株式数×分割(または併合)の比率また、新株予約権の割当日後、当社が合併、会社分割または資本金の額の減少を行う場合その他これらの場合に準じ付与株式数の調整を必要とする場合には、合理的な範囲で、付与株式数は適切に調整されるものとする。募集新株予約権の払込金額若しくはその算定方法又は払込を要しないとする旨新株予約権と引換えに払い込まれる金銭の額は、新株予約権1個当たり259円とする。新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法新株予約権の行使に際して出資される財産は金銭とし、その価額は、行使価額(以下に定義する。)に当該行使に係る新株予約権の交付株式数を乗じた額とする。新株予約権の行使により、当社が当社普通株式を交付する場合における株式1株当たりの出資される財産の価額(以下、「行使価額」という。)は、36,984円とする。なお、新株予約権の割当日後、当社が株式分割または株式併合を行う場合、次の算式により行使価額を調整し、調整による1円未満の端数は切り上げる。1調整後行使価額 = 調整前行使価額 ×分割(又は併合)の比率また、新株予約権の割当日後、当社が当社普通株式につき時価を下回る価額で新株の発行または自己株式の処分を行う場合(新株予約権の行使に基づく新株の発行及び自己株式の処分並びに株式交換による自己株式の移転の場合を除く。)、次の算式により行使価額を調整し、調整による1円未満の端数は切り上げる。新規発行 1株当たり既発行 + 株式数 × の払込金額株式数調整後 = 調整前 × 新規発行前の1株あたりの時価行使価額 行使価額既発行株式数 + 新規発行株式数なお、上記算式において「既発行株式数」とは、当社普通株式にかかる発行済株式総数から当社普通株式にかかる自己株式数を控除した数とし、また、当社普通株式にかかる自己株式の処分を行う場合には、「新規発行株式数」を「処分する自己株式数」に読み替えるものとする。さらに、上記のほか、新株予約権の割当日後、当社が他社と合併する場合、会社分割を行う場合、その他これらの場合に準じて行使価額の調整を必要とする場合には、当社は、合理的な範囲で適切に行使価額の調整を行うことができるものとする。新株予約権を行使することができる期間2020年11月1日から2030年10月31日までとする。但し、2030年10月31日が銀行営業日でない場合にはその前銀行営業日までの期間とする。新株予約権の行使の条件新株予約権者は、以下の条件が成就した場合に限り、割当てられた本新株予約権を、当該条件が成就した日の属する事業年度の末日の翌日から権利行使期間の末日までに行使することができる。(a)当会社の一事業年度における営業利益が金2億円以上であること(b)当会社との間でフランチャイズ契約を締結した事業者が当該契約に基づいて設置した「YAKINIKUMAFIA」の店舗の数が累計で20以上であること                                                            令和 2年 9月12日発行令和 2年 9月28日登記
取締役会設置会社に関する事項取締役会設置会社 
監査役設置会社に関する事項監査役設置会社 
登記記録に関する事項平成28年7月1日東京都渋谷区神宮前三丁目15番11号から本店移転平成28年11月14日登記  

*下線のあるものは抹消事項であることを示す。

印のない値は取得した登記事項そのままです。伏せ字は個人情報のため置き換えた欄です。

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

平成22年に成立した会社で、当時の商号は株式会社VIVA JAPAN。平成30年10月に現在の商号へ変わっています。旧商号に下線が引かれているのは、それが抹消された事項だからです。登記簿は、古い記録も消さずに残します。

資本金は1億円。発行済株式の総数は4,015株で、内訳が普通株式3,792株とA種優先株式223株種類株式発行会社です。取締役は4名で、堀江貴文氏は令和2年9月に就任しています。

次に消滅会社。

登記簿WAGYUMAFIA JAPAN株式会社(消滅会社)
会社法人等番号0104-01-155311 
商号WAGYUMAFIA JAPAN株式会社 
本店東京都港区南青山四丁目18番21-508号東京都港区赤坂二丁目13番1号ルーセント赤坂5階  令和 6年 1月 1日移転令和 6年 1月19日登記
公告をする方法官報に掲載する方法により行う。 
会社成立の年月日令和2年9月15日 
目的1 飲食店の経営、企画及び経営のコンサルティング2 食料品、精肉、飲料水、菓子、日用雑貨及びレストラン用品等の企画、製造、売買及び輸出入3 インターネットを利用した通信販売業4 インターネットによる情報サービス業並びに各種マーケティング業5 イベント・展示会の企画運営6 販売促進に関する企画制作7 酒類の販売8 前各号に附帯する一切の業務        
発行可能株式総数3万株 
発行済株式の総数並びに種類及び数発行済株式の総数10株  
資本金の額金10万円 
株式の譲渡制限に関する規定当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない。 
役員に関する事項取締役 濵田寿人取締役 濵田寿人 《住所は伏せています》代表取締役 濵田寿人《住所は伏せています》代表取締役 濵田寿人 伏せ字 令和 5年12月29日重任令和 6年 1月19日登記  令和 5年12月29日重任 令和 6年 1月19日登記
登記記録に関する事項設立令和 2年 9月15日登記  

*下線のあるものは抹消事項であることを示す。

印のない値は取得した登記事項そのままです。伏せ字は個人情報のため置き換えた欄です。

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

令和2年に成立した会社です。資本金10万円、発行済株式の総数は10株、取締役は濵田寿人氏1名。取締役会はありません。同じグループでも、規模も機関設計もまるで違います。

この2社が合併します。どちらの会社で、何を決めなければならないのか。それを一つずつ確かめていきます。

どちらも非公開会社だった

最初に見るのは、両社が公開会社かどうかです。ここが決まらないと、あとの分岐が全部決まりません。

登記簿存続会社の譲渡制限は「取締役会の承認」
株式の譲渡制限に関する規定当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を受けなければならない。 

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

登記簿消滅会社の譲渡制限は「株主総会の承認」
株式の譲渡制限に関する規定当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない。 

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

どちらにも「株式の譲渡制限に関する規定」の欄があります。両社とも非公開会社です。

面白いのは承認機関が違うことです。存続会社は取締役会の承認、消滅会社は株主総会の承認。存続会社には取締役会があり、消滅会社には無いからです。同じ「譲渡制限」でも、誰が承認するかは機関設計についてきます。

そして存続会社の定めは「当会社の株式を」と包括的に書かれています。A種優先株式も譲渡制限株式だということです。これがすぐ次に効いてきます。

簡易合併も略式合併も、使えない

組織再編と聞けば、まず「株主総会を省略できないか」を考えます。規模が小さければ簡易、支配関係があれば略式。

ところが今回は、対価として存続会社の株式を交付するなら、そのどちらも使えません。

司法書士試験商業登記法組織再編

令和4年度 午後の部 第32問 肢4

株式会社の組織再編の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

吸収合併に際して吸収合併消滅会社の株主に対して交付する金銭等の全部が公開会社でない吸収合併存続会社の譲渡制限株式である場合は、吸収合併消滅会社が吸収合併存続会社の特別支配会社であっても、吸収合併による変更の登記の申請書には、吸収合併契約を承認した吸収合併存続会社の株主総会の議事録を添付しなければならない。

解答と解説を見る(令和4年度 午後の部 第32問 肢4

解答:この記述は正しい

正しいです。吸収合併存続会社が吸収合併消滅会社の特別支配会社に該当する場合、原則として吸収合併契約の承認に係る株主総会決議は不要です(会社法796条1項本文)。しかし、合併対価の全部又は一部が譲渡制限株式であって存続会社が公開会社でない場合は、同項ただし書により再び株主総会の特別決議が必要となります。したがって、本問のように対価の全部が公開会社でない存続会社の譲渡制限株式である場合、変更の登記の申請書には、吸収合併契約を承認した存続会社の株主総会の議事録を添付しなければなりません(商業登記法46条2項)。

タグ:#株式会社の組織再編の登記#合併#株式#株主総会#吸収合併#公開会社#譲渡制限株式#組織再編#登記

この問題の詳細ページへ(問題ID: R04-PM32-4

存続会社が消滅会社の特別支配会社なら、原則として株主総会は要りません。しかし対価が譲渡制限株式で、存続会社が公開会社でないときは、ただし書によって再び特別決議が必要になります。

簡易のほうも同じです。吸収分割の肢ですが、働く理屈は変わりません。

司法書士試験商業登記法組織再編

平成26年度 午後の部 第35問 肢2

A社を吸収分割承継会社としB社を吸収分割会社とする株式会社の吸収分割による変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

A社が会社法上の公開会社でなく、かつ、吸収分割の対価としてA社の譲渡制限株式のみを交付する場合において、交付するA社の株式の価額の合計額がA社の純資産額として法務省令により定まる額の5分の1を超えないときは、A社の吸収分割による変更の登記の申請書に、吸収分割契約を承認したA社の株主総会議事録を添付しなければならない。

解答と解説を見る(平成26年度 午後の部 第35問 肢2

解答:この記述は正しい

正しいです。通常は対価額が承継会社の純資産額の5分の1以下なら簡易手続が可能です。しかし、非公開会社が譲渡制限株式を対価として交付する場合は例外であり、承継会社の株主総会承認が必要です(会社法796条1項ただし書、2項)。

この問題の詳細ページへ(問題ID: H26-PM35-2

5分の1以下でも株主総会が要る。非公開会社が自社の譲渡制限株式を対価にする限り、規模による省略は効きません。

なぜそうなっているのでしょうか。譲渡制限株式は、簡単には売れない株です。それを既存株主の知らないところで大量に発行されたら、持分は薄まるのに逃げ道がない。だから「規模が小さいから」という理由では省略させない。そういう発想だと理解しておくと、忘れにくくなります。

消滅会社側は、逆向きになる

では消滅会社はどうでしょうか。ここが対比としてきれいなところです。存続会社側は「非公開だとダメ」、消滅会社側は「公開だとダメ」。

司法書士試験商業登記法組織再編

平成30年度 午後の部 第33問 肢5

A社を吸収合併存続株式会社とし、B社を吸収合併消滅株式会社とする吸収合併による変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。 なお、A社及びB社は、いずれも取締役会設置会社とする。

会社法上の公開会社でないA社が、種類株式を発行していない会社法上の公開会社であるB社の特別支配会社である場合において、吸収合併に際してB社の株主に対してA社の株式を交付するときは、A社の吸収合併による変更の登記の申請書には、合併契約の承認の決議をしたB社の株主総会の議事録を添付しなければならない。

解答と解説を見る(平成30年度 午後の部 第33問 肢5

解答:この記述は正しい

正しいです。原則として、存続会社が消滅会社の特別支配会社である場合は、消滅会社の株主総会決議は省略できます(略式合併、会社法784条1項)。しかし、例外があり、合併対価として譲渡制限株式が交付され、かつ消滅会社が公開会社である場合などには、消滅会社の株主総会決議が必要です(会社法784条2項)。本問のA社株式は譲渡制限株式(非公開会社の発行する株式)であるため、この例外に該当します。

タグ:#解散した株式会社に係る登記#合併#株式#株式交換#株主総会#親会社#吸収合併#吸収分割#公開会社#種類株式#種類株式発行会社#譲渡制限株式#登記#取締役#取締役会#解散および清算

この問題の詳細ページへ(問題ID: H30-PM33-5

消滅会社側で略式が使えなくなるのは、消滅会社が公開会社であり、かつ対価が譲渡制限株式等のときです。今回の消滅会社は非公開会社ですから、この除外には当たりません。存続会社が議決権の9割以上を持っていれば、消滅会社側は略式が使えます。

同じ「略式」でも、どちら側から見るかで要件が反転する。方向を意識しておきたいところです。

ついでに、略式そのものが無い場面も押さえておきます。

司法書士試験会社法組織再編等

平成31年度 午前の部 第34問 肢2

合併に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。

株式会社と株式会社とが新設合併をする場合において、一方の株式会社が他方の株式会社の特別支配会社であるときは、当該他方の株式会社は、株主総会の決議によって、新設合併契約の承認を受けることを要しない。

解答と解説を見る(平成31年度 午前の部 第34問 肢2

解答:この記述は誤り

誤りです。株主総会決議を省略できる「略式手続」(会社法784条1項など)は、吸収合併や吸収分割のように、既存の会社が当事者となる組織再編で認められる制度です。新しく会社を設立する「新設合併」には、この略式手続の規定は適用されません。したがって、たとえ特別支配関係にあっても、各会社で株主総会の特別決議が必要です。

タグ:#合併#吸収分割#吸収合併#新設合併#株主総会#株式#特別決議#組織再編

この問題の詳細ページへ(問題ID: H31-AM34-2

略式は、既にある会社が当事者になる吸収型の再編にしかありません。新しく会社を作る新設合併には無い。

種類株主総会は、二階建てになる

存続会社は種類株式発行会社でした。ということは、株主総会とは別にもう一段あります。

登記簿存続会社の株式と資本金
発行済株式の総数並びに種類及び数発行済株式の総数4015株各種の株式の数普通株式 3792株A種優先株式 223株令和 2年10月 2日変更   令和 3年 2月16日登記
資本金の額金1億円 令和 3年 1月23日変更令和 3年 2月16日登記

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

対価として存続会社の株式を交付するなら、その種類の株主だけで開く総会が要ります。

司法書士試験会社法組織再編等

平成30年度 午前の部 第34問 肢3

吸収合併に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

吸収合併存続株式会社が種類株式発行会社である場合において、吸収合併消滅株式会社の株主に対して合併対価として吸収合併存続株式会社の譲渡制限種類株式が割り当てられるときは、当該譲渡制限種類株式を引き受ける者の募集について当該譲渡制限種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがあるときであっても、吸収合併存続株式会社において、当該譲渡制限種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要する。

解答と解説を見る(平成30年度 午前の部 第34問 肢3

解答:この記述は誤り

誤りです。合併の対価として譲渡制限株式を交付する場合、その株式の種類株主に予期せぬ影響を与える可能性があるため、原則としてその種類株主総会の決議が必要です(会社法795条4項)。ただし、募集株式の発行(会社法199条4項)と同様に、あらかじめ定款で「種類株主総会の決議を要しない」と定めておけば、その決議を省略することができます。

タグ:#合併#吸収合併#定款#株主総会#株式#種類株主総会#種類株式#種類株式発行会社#譲渡制限株式

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原則は必要。ただし定款で「要しない」と定めておけば省略できる。募集株式の発行と同じ構造です。

つまり対価を交付するなら、株主総会(特別決議)+交付する種類の種類株主総会の二段構え。定款次第で二段目だけ外せる、ということになります。

株主総会が消えても、残るもの

ここで整理しておきたいのが、簡易と略式で株式買取請求の扱いが違うことです。

まず略式。株主総会が省略されても、買取請求は残ります。

司法書士試験会社法組織再編等

平成30年度 午前の部 第34問 肢2

吸収合併に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

吸収合併存続株式会社が吸収合併消滅株式会社の特別支配会社である場合であっても、吸収合併消滅株式会社の反対株主は、吸収合併消滅株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。

解答と解説を見る(平成30年度 午前の部 第34問 肢2

解答:この記述は正しい

正しいです。合併に反対する株主には、その株式を公正な価格で会社に買い取ってもらう権利(株式買取請求権)が認められています(会社法785条1項)。この権利は、たとえ存続会社が消滅会社の議決権の9割以上を持つ「特別支配会社」であって、消滅会社の株主総会決議が省略される場合(略式合併、会社法784条1項)であっても、消滅会社の少数株主を保護するために認められています。

タグ:#合併#吸収合併#株主総会#株式#株式買取請求権#議決権

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一方、簡易は違います。

司法書士試験商業登記法組織再編

平成26年度 午後の部 第35問 肢1

A社を吸収分割承継会社としB社を吸収分割会社とする株式会社の吸収分割による変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

A社に承継させる資産の帳簿価額の合計額がB社の総資産額として法務省令により定まる額の5分の1を超えず、かつ、B社において株主総会の承認決議を経ずに吸収分割の手続を行った場合において、B社の株主から吸収分割に反対する旨の通知があったときは、A社の吸収分割による変更の登記の申請書に、反対する旨を通知したB社の株主が有する株式の数を証する書面を添付しなければならない。

解答と解説を見る(平成26年度 午後の部 第35問 肢1

解答:この記述は誤り

誤りです。B社で簡易分割が行われる場合、株主総会決議は不要であり、反対株主に株式買取請求権も認められません(会社法784条2項、785条1項2号)。そのため、反対通知をした株主の株式数を証する書面は添付不要です。

この問題の詳細ページへ(問題ID: H26-PM35-1

簡易では、そもそも株主に株式買取請求権が認められない。だから反対の通知があっても、登記の添付書面にも影響しません。

「株主総会が要らない」と「買取請求が無くなる」がセットで動くのが簡易。株主総会だけ消えて買取請求は残るのが略式。ここは並べて覚えると効きます。

買取りの効力が生じる時期も押さえておきましょう。

司法書士試験会社法組織再編等

平成31年度 午前の部 第34問 肢4

合併に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。

吸収合併存続株式会社に対してされた株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。

解答と解説を見る(平成31年度 午前の部 第34問 肢4

解答:この記述は正しい

正しいです。吸収合併存続株式会社に対してされた株式買取請求について、株式の買取りは、吸収合併の効力発生日にその効力を生じます(会社法798条6項)。消滅株式会社等に対する買取請求の場合も同様です(同法786条6項)。

タグ:#債権者保護手続#合併#吸収合併

この問題の詳細ページへ(問題ID: H31-AM34-4

債権者保護手続は、省略できない

ここが今回いちばん効くところです。簡易も略式も「株主総会の省略」であって、債権者保護手続の省略ではありません。吸収合併では、消滅会社・存続会社の両方で必ず必要です。

そのうえで、知れている債権者への各別の催告も、この2社は省略できません。理由は公告方法にあります。

登記簿存続会社の公告方法
公告をする方法官報に掲載してする。 

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

登記簿消滅会社の公告方法
公告をする方法官報に掲載する方法により行う。 

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

どちらも「官報」だけです。ここが決定的でした。

司法書士試験会社法組織再編等

令和5年度 午前の部 第34問 肢2

会社の合併に関する次のアからオまでの記述のうち正しいものの組合せはどれか。

公告方法として官報に掲載する方法を定款で定めている吸収合併消滅株式会社は、吸収合併について異議を述べることができる債権者がいる場合において、官報及び時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙にそれぞれ合併に関する公告を行ったときは、知れている債権者に対して各別に催告することを要しない。

解答と解説を見る(令和5年度 午前の部 第34問 肢2

解答:この記述は誤り

誤りです。会社の組織再編などでは、債権者を保護するための手続き(債権者保護手続)が必要です。原則として、官報での公告に加えて、知っている債権者には個別に催告しなければなりません(会社法789条2項)。ただし、定款で公告方法を「日刊新聞紙」や「電子公告」と定めている会社は、官報に加えて定款所定の方法で公告すれば、個別催告を省略できます(同条3項)。この問題の会社は、定款で官報による公告しか定めていないため、日刊新聞紙に公告しても個別催告を省略することはできません。

タグ:#会社の合併#債権者保護手続#公告方法#合併#吸収合併#定款#株式#組織再編

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個別催告を省略できるのは、定款の公告方法が日刊新聞紙か電子公告の会社だけです。定款が官報のままなら、任意に新聞にも載せたところで省略できません。この2社は、そもそもその入口に立てない。

逆に、ダブル公告ができる会社ならここまでできます。

司法書士試験商業登記法組織再編

令和3年度 午後の部 第31問 肢3

株式会社の吸収合併による変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

消滅会社が債権者保護手続に係る公告を官報及び定款の定めに従って電子公告の方法によりした場合には、不法行為によって生じた消滅会社の債務の債権者がいるときであっても、吸収合併による変更の登記の申請書には、当該債権者に対して各別の催告をしたことを証する書面を添付することを要しない。

解答と解説を見る(令和3年度 午後の部 第31問 肢3

解答:この記述は正しい

正しいです。債権者保護手続きを官報に公告する以外にも電子公告など、定款で定められた公告方法の二つの公告(いわゆるダブル公告)を行った場合は当該債権者に対する各別の催告をする必要はありません。

タグ:#株式会社の吸収合併による変更の登記#合併#株式#吸収合併#公告方法#債権者保護手続#定款#登記#組織再編

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合併なら、不法行為によって生じた債務の債権者にも省略が及ぶ。吸収分割とは扱いが違うところです。

そして債権者保護手続は、合併の効力そのものに直結します。

司法書士試験会社法組織再編等

平成31年度 午前の部 第34問 肢3

合併に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。

吸収合併契約において定めた効力発生日に債権者の異議手続が終了していない場合には、効力発生日後に債権者の異議手続を終えたときであっても、吸収合併は、その効力を生じない。

解答と解説を見る(平成31年度 午前の部 第34問 肢3

解答:この記述は正しい

正しいです。吸収合併は、原則として合併契約で定めた「効力発生日」にその効力が生じます(会社法750条1項)。しかし、債権者保護手続(異議申立手続)がその効力発生日までに完了していない場合、効力発生日が到来しても合併の効力は生じないとされています(同条6項)。この場合、手続が完了した後に、改めて効力発生日を変更する手続きが必要となります。

タグ:#債権者保護手続#合併#吸収合併

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株主の保護は、簡易や略式で省略される場面がある。けれど債権者の保護は省略されない。株主の話と債権者の話は、最後まで別々に判断する。

新株予約権は、どちら側にあるかで真逆になる

存続会社の登記簿には、新株予約権が2回分登記されています。

登記簿存続会社が発行している新株予約権
新株予約権第1回新株予約権新株予約権の数227個新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法新株予約権1個につき普通株式1株なお、当社が株式分割(株式の無償割当てを含む。以下同様とする。)または株式併合を行う場合は、次の算式により新株予約権の目的となる株式数を調整するものとし、1株未満の端数は切り捨てる。ただし、かかる調整は本件新株予約権のうち、当該時点で権利行使されていない新株予約権の目的となる株式数についてのみ行われる。調整後付与株式数=調整前付与株式数×分割・併合の比率また上記のほか、当社が吸収合併存続会社となる吸収合併を行う場合等、新株予約権の目的たる株式の数の調整を必要とするやむを得ない事由が生じたときは、合理的な範囲で新株予約権の目的たる株式の数の調整を行う。募集新株予約権の払込金額若しくはその算定方法又は払込を要しないとする旨払込を要しない。新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法新株予約権1個につき金125,000円なお、当社が株式分割または株式併合を行う場合、次の算式により行使価額を調整し、これにより生ずる1円未満の端数は切り上げる。調整後行使価額=調整前行使価額×分割・併合の比率また、時価を下回る価額で募集株式(新株予約権の行使により新株を発行する場合を除く)を発行するときは、次の算式により行使価額を調整し、これにより生ずる1円未満の端数は切り上げる。新規発行株式数×1株あたり払込金額既発行株式数+調整後 調整前 新規発行前の株価行使価額=行使価額×既発行株式数+新規発行株式数なお、上記算定において、「既発行株式数」とは当社の発行済株式総数から当社の保有する自己株式数を控除した数とし、自己株式の処分を行う場合には、「新規発行株式数」を「処分する自己株式数」に読み替えるものとする。また、算式中の「新規発行前の株価」は、当社株式に市場価格がない場合は調整前行使価額とし、当社株式に市場価格がある場合には直前の当社優先市場における最終取引価格とする。さらに、当社が吸収合併存続会社となる吸収合併を行う場合等、行使価額の調整を必要とする事由が生じたときは、合理的な範囲で行使価額の調整を行う。新株予約権を行使することができる期間平成27年8月1日から平成37年7月31日まで新株予約権の行使の条件なし会社が新株予約権を取得することができる事由及び取得の条件当社は、当社が消滅会社となる合併契約書が当社株主総会で承認された場合又は当社が完全子会社となる株式交換契約書承認の議案若しくは株式移転の議案が当社の株主総会で承認された場合は、新株予約権を無償で取得することができる。第2回新株予約権新株予約権の数3,682個新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法普通株式 3,682株新株予約権1個あたりの目的である株式の数(以下、「付与株式数」という。)は、当社普通株式1株とする。なお、付与株式数は、新株予約権の割当日後、当社が株式分割(当社普通株式の無償割当てを含む。以下同じ。)または株式併合を行う場合、次の算式により調整されるものとする。ただし、かかる調整は、新株予約権のうち、当該時点で行使されていない新株予約権の目的である株式の数についてのみ行われ、調整の結果生じる1株未満の端数については、これを切り捨てるものとする。調整後付与株式数=調整前付与株式数×分割(または併合)の比率また、新株予約権の割当日後、当社が合併、会社分割または資本金の額の減少を行う場合その他これらの場合に準じ付与株式数の調整を必要とする場合には、合理的な範囲で、付与株式数は適切に調整されるものとする。募集新株予約権の払込金額若しくはその算定方法又は払込を要しないとする旨新株予約権と引換えに払い込まれる金銭の額は、新株予約権1個当たり259円とする。新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法新株予約権の行使に際して出資される財産は金銭とし、その価額は、行使価額(以下に定義する。)に当該行使に係る新株予約権の交付株式数を乗じた額とする。新株予約権の行使により、当社が当社普通株式を交付する場合における株式1株当たりの出資される財産の価額(以下、「行使価額」という。)は、36,984円とする。なお、新株予約権の割当日後、当社が株式分割または株式併合を行う場合、次の算式により行使価額を調整し、調整による1円未満の端数は切り上げる。1調整後行使価額 = 調整前行使価額 ×分割(又は併合)の比率また、新株予約権の割当日後、当社が当社普通株式につき時価を下回る価額で新株の発行または自己株式の処分を行う場合(新株予約権の行使に基づく新株の発行及び自己株式の処分並びに株式交換による自己株式の移転の場合を除く。)、次の算式により行使価額を調整し、調整による1円未満の端数は切り上げる。新規発行 1株当たり既発行 + 株式数 × の払込金額株式数調整後 = 調整前 × 新規発行前の1株あたりの時価行使価額 行使価額既発行株式数 + 新規発行株式数なお、上記算式において「既発行株式数」とは、当社普通株式にかかる発行済株式総数から当社普通株式にかかる自己株式数を控除した数とし、また、当社普通株式にかかる自己株式の処分を行う場合には、「新規発行株式数」を「処分する自己株式数」に読み替えるものとする。さらに、上記のほか、新株予約権の割当日後、当社が他社と合併する場合、会社分割を行う場合、その他これらの場合に準じて行使価額の調整を必要とする場合には、当社は、合理的な範囲で適切に行使価額の調整を行うことができるものとする。新株予約権を行使することができる期間2020年11月1日から2030年10月31日までとする。但し、2030年10月31日が銀行営業日でない場合にはその前銀行営業日までの期間とする。新株予約権の行使の条件新株予約権者は、以下の条件が成就した場合に限り、割当てられた本新株予約権を、当該条件が成就した日の属する事業年度の末日の翌日から権利行使期間の末日までに行使することができる。(a)当会社の一事業年度における営業利益が金2億円以上であること(b)当会社との間でフランチャイズ契約を締結した事業者が当該契約に基づいて設置した「YAKINIKUMAFIA」の店舗の数が累計で20以上であること                                                            令和 2年 9月12日発行令和 2年 9月28日登記

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

第1回が227個、第2回が3,682個。第2回には行使の条件まで書かれていて、営業利益が2億円以上であること、フランチャイズ店舗が累計20以上であること、とあります。行使の条件は登記事項だからです。

では、この新株予約権は合併でどうなるか。何も起きません。存続会社の新株予約権者に影響する条文が無いからです。

司法書士試験会社法組織再編等

令和4年度 午前の部 第34問 肢2

株式会社の組織再編等に関する次の1から5までの記述のうち正しいものはどれか。 なお、問題文に明記されている場合を除き、定款に法令の規定と異なる別段の定めがないものとする。

吸収合併消滅会社が発行した新株予約権は、吸収合併の登記をした時に、消滅する。

解答と解説を見る(令和4年度 午前の部 第34問 肢2

解答:この記述は誤り

誤りです。吸収合併消滅会社の新株予約権は、吸収合併の効力発生日に消滅します(会社法750条6項)。登記をした時ではありません。ただし、合併契約の定めにより、消滅会社の新株予約権者に代わって存続会社の新株予約権が交付される場合は、その定めに従うことになります(会社法749条1項4号)。

タグ:#合併#吸収合併#新株予約権#株式会社の組織再編等#登記

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条文が動くのは消滅会社側だけです。そして今回の消滅会社は、こうなっています。

登記簿消滅会社には、この欄がない
新株予約権この会社の登記簿には、この欄がありません。

消滅会社に新株予約権が無いので、合併契約で「存続会社の新株予約権を交付する」と定める必要もない。

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

欄そのものがありません。消滅会社に新株予約権が無いので、合併契約で「存続会社の新株予約権を交付する」と定める必要もありません。

もし逆で、消滅会社側にあったらどうなるでしょうか。

司法書士試験商業登記法組織再編

平成30年度 午後の部 第33問 肢3

A社を吸収合併存続株式会社とし、B社を吸収合併消滅株式会社とする吸収合併による変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。 なお、A社及びB社は、いずれも取締役会設置会社とする。

吸収合併に際してB社の新株予約権者に対してA社の新株予約権を交付する場合には、A社の吸収合併による変更の登記の申請書には、合併契約書のほか、B社の新株予約権の内容として、吸収合併によりB社が消滅する際には吸収合併存続会社の新株予約権を交付する旨を定めたB社の株主総会の議事録又は取締役会の議事録を添付しなければならない。

解答と解説を見る(平成30年度 午後の部 第33問 肢3

解答:この記述は誤り

誤りです。吸収合併に際し、消滅会社(B社)の新株予約権者に存続会社(A社)の新株予約権を交付する場合、その内容は合併契約書に定める必要があります(会社法749条1項4号)。したがって、存続会社(A社)の登記申請書には合併契約書を添付すれば足り、消滅会社(B社)における新株予約権の内容を定めた株主総会や取締役会の議事録の添付は不要です。

タグ:#解散した株式会社に係る登記#合併#株式#株主総会#吸収合併#新株予約権#新株予約権の内容#登記#取締役#取締役会#解散および清算

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合併契約書に定めればよく、消滅会社側の議事録は要らない。

なお存続会社の第1回新株予約権には、「当会社が消滅会社となる合併が承認された場合は無償で取得できる」という取得条項が登記されています。今回は存続会社なので発動しません。同じ条項が、どちら側にいるかで真逆に効く。実物で見ると腑に落ちるところです。

A種優先株式という株

最後に、存続会社の種類株式そのものを見ておきます。

登記簿A種優先株式の内容が、そのまま登記されている
発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容①普通株式 2万株②A種優先株式 1万株当会社の発行するA種優先株式の内容については、次のとおりとする。①残余財産分配(1)当会社は、残余財産の分配を行うときは、A種優先株式を有する株主(以下、「A種優先株主」という)又はA種優先株式の登録株式質権者(以下、「A種優先登録株式質権者」という)に対し、普通株式を有する株主(以下「普通株主」という)又は普通株式の登録株式質権者(以下、「普通登録株式質権者」という)に先立ち、A種優先株式1株につき金1,000円(以下、「A種優先残余財産分配額」という)を支払う。(2)A種優先株主又はA種優先登録株式質権者に対してA種優先残余財産分配額の全額が分配された後、普通株主又は普通登録株式質権者に対して残余財産の分配をするときは、A種優先株主又はA種優先登録株式質権者は、A種優先株式1株あたり、普通株式1株あたりの残余財産分配額と同額の残余財産の分配を受ける。②取得請求権A種優先株主は、当会社に対して、A種優先株式を取得することを請求することができる。(1)取得と引換えにA種優先株主に交付する財産の内容当会社は、A種優先株式の取得と引換えに、次の算定方法により算出される数の普通株式を交付する。A 引換えに交付すべき普通株式の数引換えにより A種優先株主が取得交付すべき普=を請求したA種優先×転換比率通株式の数 株式の数B 転換比率転換比率は、1.000とする。C 転換比率の調整(ア)普通株式につき株式の分割又は株式無償割当てをする場合、以下の算式により転換比率を調整する。なお、株式無償割当ての場合には、下記の算式における「分割前既発行普通株式数」は「無償割当て前既発行普通株式数(但し、その時点で当会社が保有する普通株式を除く)」、「分割後既発行普通株式数」は「無償割当て後既発行普通株式数(但し、その時点で当会社が保有する普通株式を除く)」とそれぞれ読み替える。調整後 調整前 分割前既発行普通株式数転換比率=転換比率×分割後既発行普通株式数調整後の転換比率は、株式の分割の場合には株式の分割にかかる基準日の翌日以降、また株式無償割当ての場合は株式無償割当ての効力が生ずる日をもって(株式無償割当てにかかる基準日を定めた場合は当該基準日以降)、これを適用する。(イ)普通株式につき株式の併合をする場合、株式の併合の効力が生ずる日をもって(株式の併合にかかる基準日を定めた場合は当該基準日の翌日以降)、次の算式により転換比率を調整する。調整後 調整前 併合前既発行普通株式数転換比率=転換比率×併合後既発行普通株式数(ウ)A種優先株式の発行後、時価を下回る払込金額をもって普通株式を発行する場合には、転換比率は、その払込期日(払込期間を定めた場合には当該払込期間の最終日)の翌日以降、また、株主への割当てにかかる基準日を定めた場合は当該基準日の翌日以降、下記算式により計算される転換比率に調整する。調整後転換比率は、小数第4位まで算出し、その小数第4位を四捨五入する。なお、当会社が保有する普通株式を処分する場合には、次の算式における「新規発行普通株式数」は「処分する当会社が保有する普通株式数」と読み替える。既発行普 新規発行調整後 調整前 通株式数+普通株式数転換比率=転換比率×新規発行 1株当たり既発行普 普通株式数×払込金額通株式数+1株あたり時価(2)取得請求期間平成24年9月28日から平成31年9月28日までとする。③ 取得条項当会社は、株式上場申請を行うことが取締役会により可決された場合において、主幹事証券会社から要請があった場合は、A種優先株式の全部につき、次の算定方法により算出される数の普通株式と引換えに取得する。A 引換えに交付すべき普通株式の数引換えにより A種優先株主交付すべき普=が有するA種優×転換比率通株式の数 先株式の数B 転換比率転換比率は、1.000とする。C 転換比率の調整(ア)普通株式につき株式の分割又は株式無償割当てをする場合、以下の算式により転換比率を調整する。なお、株式無償割当ての場合には、下記の算式における「分割前既発行普通株式数」は「無償割当て前既発行普通株式数(但し、その時点で当会社が保有する普通株式を除く)」、「分割後既発行普通株式数」は「無償割当て後既発行普通株式数(但し、その時点で当会社が保有する普通株式を除く)」とそれぞれ読み替える。調整後 調整前 分割前既発行普通株式数転換比率=転換比率×分割後既発行普通株式数調整後の転換比率は、株式の分割の場合には株式の分割にかかる基準日の翌日以降、また株式無償割当ての場合は株式無償割当ての効力が生ずる日をもって(株式無償割当てにかかる基準日を定めた場合は当該基準日以降)、これを適用する。(イ)普通株式につき株式の併合をする場合、株式の併合の効力が生ずる日をもって(株式の併合にかかる基準日を定めた場合は当該基準日の翌日以降)、次の算式により転換比率を調整する。調整後 調整前 併合前既発行普通株式数転換比率=転換比率×併合後既発行普通株式数(ウ)A種優先株式の発行後、時価を下回る払込金額をもって普通株式を発行する場合には、転換比率は、その払込期日(払込期間を定めた場合には当該払込期間の最終日)の翌日以降、また、株主への割当てにかかる基準日を定めた場合は当該基準日の翌日以降、下記算式により計算される転換比率に調整する。調整後転換比率は、小数第4位まで算出し、その小数第4位を四捨五入する。なお、当会社が保有する普通株式を処分する場合には、次の算式における「新規発行普通株式数」は「処分する当会社が保有する普通株式数」と読み替える。既発行普 新規発行調整後 調整前 通株式数+普通株式数転換比率=転換比率×新規発行 1株当たり既発行普 普通株式数×払込金額通株式数+1株あたり時価                                                              

残余財産の分配、取得請求権、取得条項。ベンチャーファイナンスで使う優先株の設計が、誰でも見られる形で記録されている。

左から順に、登記の見出し/記録された事項/登記の年月日。

残余財産の分配について優先し、取得請求権があり、取得条項もある。ベンチャー投資で使う優先株の設計が、誰でも見られる形で登記されています。

取得請求権付株式は、株主のほうから「普通株式に換えてください」と言える株です。対価が自己株式以外の財産なら、財源の制限がかかります。

司法書士試験商業登記法株式全般

平成31年度 午後の部 第29問 肢1

株式の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。

取得請求権付株式を発行している会社が、当該株式の取得と引換えに当該会社の新株予約権を交付する旨を定めている場合において、当該株式の株主からの請求を受け、当該株式を取得するのと引換えに新株予約権を発行し交付したときは取得請求権付株式の取得と引換えにする新株予約権の発行による変更の登記の申請書には、当該請求の日において当該新株予約権の帳薄価額以上の分配可能額が当該会社に存在することを証する書面を添付しなければならない。

解答と解説を見る(平成31年度 午後の部 第29問 肢1

解答:この記述は正しい

正しいです。取得請求権付株式の対価として会社が自己株式以外の財産(本問では新株予約権)を交付する場合、その交付財産の帳簿価額の合計額が、請求日における分配可能額を超えてはなりません(会社法166条1項ただし書)。したがって、この分配可能額の制限を満たしていることを証する書面の添付が必要です。

タグ:#株式の登記#株式#取得請求権付株式#新株予約権#登記#分配可能額#株式全般

この問題の詳細ページへ(問題ID: H31-PM29-1

取得条項付株式は逆で、会社のほうから取り上げられる株です。だから、その内容に変えるには重い手続が要ります。

司法書士試験商業登記法株式全般

令和4年度 午後の部 第29問 肢5

株式に関する登記についての次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ある種類の株式について株式の内容を取得条項付株式とする定款変更による株式の内容の変更の登記を申請するときは、当該登記の申請書には、当該種類株主全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。

解答と解説を見る(令和4年度 午後の部 第29問 肢5

解答:この記述は正しい

正しいです。 種類株式発行会社が、ある種類の株式の内容を取得条項付株式に変更する場合、当該種類株主の全員の同意が必要です(会社法111条1項)。この全員の同意を証する書面を登記申請書に添付しなければなります(商業登記法46条1項)。したがって、この記述は正しい内容です。

タグ:#株式に関する登記#株式#取得条項付株式#定款#定款変更#登記#株式全般

この問題の詳細ページへ(問題ID: R04-PM29-5

種類株主全員の同意。多数決では足りません。株主にとって不利益が大きいからです。

あの時代の議論が、いまの登記簿の欄になっている

ここまで見てきた制度には、共通点があります。どれも会社法(平成17年制定)で整理されたものだということです。

組織再編の対価は、旧商法では原則として存続会社の株式に限られていました。会社法で、金銭その他の財産も認められるようになった。今回ずっと追いかけてきた「対価として何を交付するか」という分岐そのものが、この整理の上に成り立っています。

種類株式の内容が登記事項として整理されたのも会社法です。だからA種優先株式の設計が、あれだけ細かく登記簿に載っている。

2000年代の前半、株式分割や株式交換、新株予約権をめぐって、資本市場では激しい議論がありました。新株予約権の発行が争われた事件をきっかけに、経営支配権をめぐる場面での取締役会の権限には、司法の側から一定の枠が示されています。

その議論を経て整えられた制度が、いまは条文の形と、登記簿の欄になっている。今回の登記簿には、当時その議論の中心にいた方が、取締役として記録されています。同じ新株予約権という制度が、あのときは経営支配権をめぐる道具として論じられ、いまは営業利益2億円という業績条件つきのインセンティブとして登記されている。制度は同じで、使われ方が違う。

今回の論点を振り返る

一つの合併公告から、2社の登記簿をたどってきました。三つに畳んでおきます。

  1. 対価として何を交付するかが、手続の重さを全部決める。存続会社が非公開会社で、対価が自社の譲渡制限株式なら、簡易も略式も使えない。種類株式発行会社なら種類株主総会も乗る。逆に対価を交付しないなら、その多くが外れます。
  1. 株主の保護と債権者の保護は、別々に判断する。簡易・略式は株主総会の省略であって、債権者保護手続の省略ではない。しかも公告方法が官報だけなら、各別の催告も省略できない。
  1. 同じ制度でも、どちら側にいるかで効き方が反転する。略式の除外は、存続会社側では「非公開だとダメ」、消滅会社側では「公開だとダメ」。新株予約権も、存続会社側なら何も起きず、消滅会社側なら消滅する。

そして、ここまで確かめてきたことの大半は、登記簿を取れば分かることでした。

逆に、登記簿を見ても分からないことが一つあります。消滅会社の株主が誰かです。100%子会社なのかどうかで、略式が使えるかも、対価を交付するかどうかも変わる。手続の重さを決める一番大きな分岐なのに、そこは登記簿に出てきません。

登記簿から読めることと、読めないこと。その線引きが見えてくると、条文の暗記が少しだけ立体的になると思います。

参照した資料

  • 官報「合併公告」および「第6期決算公告」2026年8月26日
  • WAGYUMAFIA INTERNATIONAL株式会社 履歴事項全部証明書(2026年8月26日取得)
  • WAGYUMAFIA JAPAN株式会社 履歴事項全部証明書(2026年8月26日取得)
  • 会社法・商業登記法の現行条文

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