会社法
第937条裁判による登記の嘱託
次に掲げる場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、会社の本店の所在地を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない。
- 1号次に掲げる訴えに係る請求を認容する判決が確定したとき。
- イ会社の設立の無効の訴え
- ロ株式会社の成立後における株式の発行の無効の訴え
- ハ新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債を含む。以下この節において同じ。)の発行の無効の訴え
- ニ株式会社における資本金の額の減少の無効の訴え
- ホ株式会社の成立後における株式の発行が存在しないことの確認の訴え
- ヘ新株予約権の発行が存在しないことの確認の訴え
- ト株主総会等の決議した事項についての登記があった場合における次に掲げる訴え
- チ持分会社の設立の取消しの訴え
- リ会社の解散の訴え
- ヌ株式会社の役員の解任の訴え
- ル持分会社の社員の除名の訴え
- ヲ持分会社の業務を執行する社員の業務執行権又は代表権の消滅の訴え
- 2号次に掲げる裁判があったとき。
- イ第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定による一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者の選任の裁判
- ロ第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定による一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者の選任の裁判(次条第二項第一号に規定する裁判を除く。)
- ハイ又はロに掲げる裁判を取り消す裁判(次条第二項第二号に規定する裁判を除く。)
- ニ清算人又は代表清算人若しくは清算持分会社を代表する清算人の選任又は選定の裁判を取り消す裁判(次条第二項第三号に規定する裁判を除く。)
- ホ清算人の解任の裁判(次条第二項第四号に規定する裁判を除く。)
- 3号次に掲げる裁判が確定したとき。
- イ前号ホに掲げる裁判を取り消す裁判
- ロ第八百二十四条第一項の規定による会社の解散を命ずる裁判
第八百二十七条第一項の規定による外国会社の日本における取引の継続の禁止又は営業所の閉鎖を命ずる裁判が確定したときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、次の各号に掲げる外国会社の区分に応じ、当該各号に定める地を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない。
- 1号日本に営業所を設けていない外国会社日本における代表者(日本に住所を有するものに限る。)の住所地
- 2号日本に営業所を設けている外国会社当該営業所の所在地
次の各号に掲げる訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、各会社の本店の所在地を管轄する登記所に当該各号に定める登記を嘱託しなければならない。
- 1号会社の組織変更の無効の訴え組織変更後の会社についての解散の登記及び組織変更をする会社についての回復の登記
- 2号会社の吸収合併の無効の訴え吸収合併後存続する会社についての変更の登記及び吸収合併により消滅する会社についての回復の登記
- 3号会社の新設合併の無効の訴え新設合併により設立する会社についての解散の登記及び新設合併により消滅する会社についての回復の登記
- 4号会社の吸収分割の無効の訴え吸収分割をする会社及び当該会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継する会社についての変更の登記
- 5号会社の新設分割の無効の訴え新設分割をする会社についての変更の登記及び新設分割により設立する会社についての解散の登記
- 6号株式会社の株式交換の無効の訴え株式交換をする株式会社(第七百六十八条第一項第四号に掲げる事項についての定めがある場合に限る。)及び株式交換をする株式会社の発行済株式の全部を取得する会社についての変更の登記
- 7号株式会社の株式移転の無効の訴え株式移転をする株式会社(第七百七十三条第一項第九号に掲げる事項についての定めがある場合に限る。)についての変更の登記及び株式移転により設立する株式会社についての解散の登記
- 8号株式会社の株式交付の無効の訴え株式交付親会社についての変更の登記
関連条文
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第937条第1項
破産手続終了後の会社につき、残余財産があることが判明した場合において、裁判所が清算人を選任したときは、清算人の選任の登記は、裁判所書記官の嘱託によって行われる。
解説
誤りです。破産手続終了後に残余財産が判明し、裁判所が清算人を選任した場合でも、その選任登記を裁判所書記官の嘱託で行う旨の規定はありません。裁判所書記官の嘱託登記とする点が誤りです(会社法937条)。
一時監査役の職務を行うべき者の選任による変更の登記は、裁判所書記官の嘱託により行われる。
解説
正しいです。監査役などに欠員が生じた場合に、裁判所が利害関係人の申立てにより一時的に職務を行う者(一時監査役)を選任します(会社法346条2項)。この選任の登記は、裁判所書記官の嘱託によって行われます(会社法937条1項2号イ)。
任期満了による退任後もなお監査役としての権利義務を有する者が存在する場合には、一時監査役の職務を行うべき者が選任されたとしても、当該選任による変更の登記をすることはできない。
解説
誤りです。任期満了後も権利義務役員として職務を継続している者がいる場合(会社法346条1項)でも、裁判所が一時監査役を選任することは可能です(会社法346条2項)。この裁判所による選任の登記は、嘱託によって行われます(会社法937条1項2号イ)。
裁判所が選任した清算人を株主総会において解任する決議をした場合は、当該清算人の解任を決議した株主総会の議事録を添付して、清算人の解任による変更の登記を申請することができる。
解説
誤りです。裁判所が選任した清算人の解任は、株主総会ではできず、裁判所のみが行うことができます(会社法479条2項)。解任判決が確定した場合、裁判所書記官の嘱託により登記が行われます(会社法937条1項1号ト)。したがって、株主総会の議事録を添付して申請することはできません。
合資会社において、社員の除名の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合には、当該判決の判決書の正本及び確定証明書を添付して当該社員の退社による変更の登記を申請しなければならない。
解説
誤りです。社員の除名判決が確定した場合(会社法859条)、社員の退社による変更の登記は、社員の除名判決を認容した裁判所書記官が職権で嘱託しなければなりません(会社法937条1項1号ル)。したがって、会社が判決書を添付して自ら登記を申請する必要はありません。
資本金の額の減少による変更の登記があった場合において、当該資本金の額の減少に係る株主総会の決議に無効の原因があるときは、資本金の額の減少の無効の訴えに係る請求を認容する判決書の謄本及び確定証明書を添付して、当該変更の登記の抹消を申請しなければならない。
解説
誤りです。資本金の額の減少の無効の訴えに係る判決が確定した場合、この無効の登記は、裁判所書記官の嘱託によって行われます(会社法937条1項1号)。会社が自ら判決書を添付して抹消を申請するものではありません。
合同会社の業務を執行する社員の業務執行権の消滅の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該会社の本店の所在地を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない。
解説
正しいです。持分会社の業務執行社員について、除名事由(会社法859条)または業務執行に著しく不適任な事由があるときは、業務執行社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって業務執行権の消滅を請求することができます(会社法860条)。この業務執行権消滅の訴えについて請求を認容する判決が確定した場合、裁判所書記官は職権で遅滞なく、当該会社の本店所在地を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければなりません(会社法937条1項1号ヲ)。
攻撃句
「裁判所が清算人を選任したとき」
嘱託対象は一時清算人等の選任裁判。裁判所が通常の清算人を選任した場合まで含まれない。
攻撃句
「裁判所書記官の嘱託により行われる」
一時監査役の選任登記は、裁判所書記官が職権で嘱託する。会社が申請するのではない。
攻撃句
「当該選任による変更の登記をすることはできない」
一時監査役が選任されたら、裁判所書記官はその登記を嘱託する。「登記できない」ではない。
攻撃句
「清算人を株主総会において解任する決議」
裁判所選任の清算人は、株主総会では解任できず、裁判所の解任裁判による。登記は裁判所書記官が嘱託する。
攻撃句
「当該判決の判決書の正本及び確定証明書を添付して当該社員の退社による変更の登記を申請しなければならない」
社員除名判決の確定登記は、会社の申請ではなく、裁判所書記官が職権で嘱託する。
攻撃句
「判決書の謄本及び確定証明書を添付して、当該変更の登記の抹消を申請しなければならない」
資本金減少無効判決の確定登記は、会社の申請ではなく、裁判所書記官が職権で嘱託する。
攻撃句
「裁判所書記官は、職権で、遅滞なく」
業務執行権消滅の認容判決が確定したら、裁判所書記官が職権で遅滞なく登記を嘱託する。