不動産登記法
第60条共同申請
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
関連条文
条文中の参照・準用と、過去問での出題実績を根拠に表示しています。
出題実績(3)
第60条第1項
Aの遺産に関する遺産分割の調停調書に、「Cが甲土地を取得する代償として、Cの所有する乙建物を無償でCがBに譲渡する。」旨の条項があるときは、Bは、当該調停調書の正本を提供することにより、乙建物につき、単独で、遺産分割による贈与を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することができる。
解説
誤りです。「Cが甲土地を取得する代償としてCの所有する乙建物を無償でBに譲渡する」旨の調停が成立した場合、乙建物については遺産分割による贈与を登記原因とする所有権の移転の登記を申請できますが、この登記は相続登記ではなく共同申請(不登法60条)になります。調停調書の条項から登記申請の意思までは擬制されないため、Bが単独で申請することはできず、BとCが共同して申請する必要があります(登記研究740号147頁)。
甲土地が祭祀財産であり、かつ、Aが遺言外でEを祭祀に関する権利を承継すべき者と指定した場合において、裁判外で作成したEを当該権利を承継すべき者として指定したことを証する情報を提供して祭祀財産の承継による所有権の移転の登記を申請するときは、B、C、D及びEが共同して、申請しなければならない。
解説
正しいです。祭祀財産の承継による所有権の移転の登記は、「祭祀物承継」を登記原因とし、祭祀を承継する者を登記権利者、相続人全員を登記義務者として共同申請する必要があります(民法897条、不登法60条、登記研究723号175頁、776号143頁)。本問では、裁判外でEを祭祀承継者として指定したことを証する情報を提供して登記を申請するため、B、C、D及びEが共同して申請しなければなりません。
A及びBを所有権の登記名義人とする甲土地にCを抵当権者とする抵当権の設定の登記がされている場合において、CがAの持分を目的とする抵当権を放棄したことにより当該抵当権をB持分の抵当権とする変更の登記を申請するときは、A及びBを登記権利者とし、Cを登記義務者としなければならない。
解説
誤りです。AとBの共有名義の甲土地にCの抵当権の設定の登記がされている場合において、CがAの持分について抵当権を放棄したときは、抵当権をB持分の抵当権とする変更の登記を申請します(記録例416)。この登記は、抵当権の負担を免れることになるAを登記権利者、抵当権の登記名義人Cを登記義務者として共同して申請します(不動産登記法60条)。引き続き抵当権を負担することになるBは、登記権利者とはなりません。
攻撃句
「共同して、申請しなければならない」
祭祀財産の承継による所有権移転も、Eと共同相続人B・C・Dが共同申請する。単独申請の特則はない。